こんにちは!THE Roots運営者の「PIGPIG」です!
最近は都心部でもいよいよ本格的な冬の寒さになってきましたね!
この時期になると、ニュースなどでもよく耳にするバックカントリーという言葉ですが、検索窓にバックカントリーと打ち込むと迷惑というキーワードが出てきてドキッとしたことはありませんか?
美しい雪山を滑る映像には憧れますが、一方で遭難事故やスキー場への侵入といったトラブルが後を絶たないのも事実です。
なぜこれほどまでに迷惑だと言われてしまうのか、その背景には高額な捜索費用の問題やルールを守らない一部の人たちの存在があるようです。
これからバックカントリーを始めてみたいけれど世間からの批判が気になる方や、万が一の事故のリスクや保険について詳しく知りたいという方も多いのではないでしょうか?
この記事ではそんな皆さんの不安を解消するために、迷惑と言われる本当の理由から私たちが守るべきマナーや具体的な対策までを徹底的にリサーチしました!
- バックカントリーがなぜ「迷惑」と批判される構造的な理由
- 遭難した際の公的救助と民間救助の費用の違い
- 雪崩事故のリスクや法的責任などの厳しい現実
- ニセコルールや保険などの安全に楽しむための具体的な回避策
バックカントリーが迷惑と言われる理由と実態

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「個人の自由なんだから放っておいてくれ」と思う方もいるかもしれませんが、調べてみるとそう単純な話ではないようです。
ここでは、なぜバックカントリー活動がこれほどまでに厳しい目を向けられているのか、その具体的な理由と現場で起きている実態について、私なりに深掘りしてみました!
スキー場のコース外滑走が招く業務妨害
まず真っ先に挙げられるのが、スキー場運営側への直接的な迷惑行為です!
これ、私も若い頃は「コースの端っこをちょっと滑るくらいなら、誰にも迷惑かけてないしいいんじゃない?」なんて軽く考えていた時期がありましたが、リサーチを進めるうちにそれがとんでもない間違いだったことに気づかされました。
スキー場のパトロール隊の方々は、本来ゲレンデ内の安全管理を最優先のミッションとしています。
具体的には、朝一番のコース点検、雪面状況のチェック、危険箇所へのネット張り、そして何より営業時間内に発生した怪我人の応急処置や搬送といった業務です。
これらはすべて、正規の料金を払ってルールを守って滑っているお客さんの安全を守るための仕事ですよね。
しかし、管理区域外であるバックカントリーエリアで遭難やトラブルが発生するとどうなるでしょうか?
人命がかかっている以上、人道的な理由からスキー場側も救助要請を無下にはできません。
結果として、パトロール隊員が通常の業務を中断し、装備を整えて危険な山の中へ捜索に向かうことになります。
ここで発生する問題は単に「忙しくなる」というレベルではありません。
救助活動に熟練のスタッフが割かれることで、ゲレンデ内のパトロール体制が手薄になり、通常営業に支障をきたす可能性があるんです。
最悪の場合、安全確保ができずにリフトの運行を止めざるを得ないケースも出てくるかもしれません。
これでは、ルールを守って楽しんでいる他のお客さんに対して、間接的に大きな迷惑をかけていることになりますよね?
さらに深刻なのが、二次災害のリスクです。
バックカントリーで遭難が発生するような状況は、得てして悪天候や雪崩リスクが高い時です。
そんな危険な場所に、業務命令とはいえパトロール隊員を送り出す管理者の方の苦悩や、現場に向かう隊員の方々の恐怖を想像したことがあるでしょうか?
「なぜルールを破って勝手にコース外に出た人のために、ルールを守って真面目に働いている私たちが命を賭けなければならないのか」
現場からはそんな悲痛な叫びも聞こえてきます。
また、捜索活動は精神的な負担も計り知れません。
もし救助が間に合わず最悪の結果になってしまった場合、その遺体を搬送するのもパトロールや地元警察の方々です。
レジャー気分で安易にロープをくぐったその一歩が、多くの人の業務を妨害し、心に深い傷を負わせる可能性があるという事実。
これを「迷惑」という言葉だけで片付けていいのか迷うほど、重い現実がそこにはありました。
・ここがポイント
「誰にも迷惑をかけない」というのは幻想です。
コース外に出た瞬間から、あなたはスキー場の管理システムという「他人の仕事」にタダ乗りし、リスクを押し付けている可能性があることを自覚しなければなりません。
雪崩事故が引き起こす深刻な影響
次に怖いのが雪崩です。
「自分だけが巻き込まれるなら自己責任」という理屈も、雪崩の物理的なメカニズムを知ると全く通用しないことがわかります。
雪山は全て繋がっているんです。
雪崩というと、滑っている人の足元が崩れてその人が流されるイメージが強いですが、実はそれだけではありません。
積雪内部にある「弱層(じゃくそう)」と呼ばれる不安定な層に、スキーヤーやスノーボーダーの荷重が刺激となって加わると、まるでガラスにヒビが入るように亀裂が広がり、数百メートル離れた場所や、自分が滑っている場所よりも遥か下の方で雪崩が発生することがあります。
これを専門用語で「遠隔誘発(リモートトリガー)」と呼びます。
これが何を意味するか、想像できますか?
例えば、あなたがスキー場の上部にあるバックカントリーエリアを気持ちよく滑っていたとします。
あなた自身は雪崩に巻き込まれず、「最高のパウダーだった!」と満足して帰るかもしれません。
しかし、あなたが斜面に与えた刺激がトリガーとなり、その下にあるスキー場の管理コースに向かって大規模な雪崩が襲いかかる可能性があるのです。
実際に過去には、スキー場のコース内に雪崩が流入する事故も起きています。
管理されたコース内で、お父さんと一緒に練習している子供や、初めてスノーボードに挑戦している学生グループなど、バックカントリーとは無縁の一般のお客さんが、突如として雪の塊に飲み込まれる悲劇が起こり得るのです。
スキー場側は、毎朝営業開始前に「アバランチコントロール」といって、爆薬などを使って人工的に雪崩を起こし、コースの安全を確保しています。
しかし、これはあくまで管理区域内やその周辺に限った話です。
管理区域外の広大な斜面すべてをコントロールすることは、物理的にもコスト的にも不可能です。
そこへ無断で侵入し、不安定な雪層を刺激する行為は、言ってみれば「安全装置の外側から、爆弾のスイッチを押す」ようなものです。
ゲレンデ内の無関係な客を殺害するリスクを孕んだ、極めて危険な行為。
これが「バックカントリーは迷惑だ」と強く非難される、安全管理上の最大の理由なんですね。
また、一度雪崩が発生すれば、大規模な捜索活動が行われます。
警察、消防、自衛隊、地元の山岳会などが総動員され、その地域の交通や社会機能にも影響が出ます。
「誰もいない山奥でひっそりと」なんてことはあり得ません。
雪崩事故は、間違いなく社会全体を巻き込む大事故なんです。
捜索救助費用と高額請求の現実
ネット上の議論を見ていると、「遭難者は税金泥棒である」という過激な批判を目にすることがあります。
これ、言われている側としては耳が痛い話ですが、実は日本の遭難救助費用負担の仕組みに対する誤解と、一部のシビアな事実が複雑に絡み合っているんです。
まず大前提として知っておくべきなのは、警察や消防による公的な救助活動は、原則として無料だという事実です。
警察の山岳警備隊が出動する場合、それは警察法第2条にある「個人の生命、身体及び財産の保護」という責務に基づいた活動になります。
消防のレスキュー隊や防災ヘリも同様で、消防組織法に基づく公務です。
街中で救急車を呼んでもお金がかからないのと同じ理屈で、山で遭難して県警ヘリに吊り上げられても、その燃料費や人件費を遭難者個人に請求することは法的にできない仕組みになっています。
この費用の原資はもちろん、私たち国民が納めた税金(国費や都道府県費)です。
これが「自分勝手な遊びで危険な場所に立ち入り、遭難した者の尻拭いを、なぜ真面目に生活している納税者が負担しなければならないのか?」という、強力な批判を生む温床となっています。
「バックカントリーは迷惑」と調べる人の多くは、この不公平感に共鳴、あるいは憤慨しているのではないでしょうか?
・豆知識:海外との違い
欧米の一部では、救急車の利用すら有料の国もありますし、山岳救助に関しても「原因を作った者が負担する」という考え方が浸透している地域があります。
それに比べると、日本は「命を守るコストは公的に負担する」という考え方がベースにある、非常に恵まれた国だと言えます。
しかし、話はここで終わりません。
「じゃあタダで助けてもらえるんだ、ラッキー」なんて思っていたら大間違いです!
公的機関の手が回らない場合や、捜索が長期化した場合、あるいは地形的に警察ヘリが近づけない場合などは、地元の遭難対策協議会などが手配する民間の救助隊や、民間航空会社のヘリコプターが出動することになります。
ここでルールは一変します。
民間救助は完全にビジネス、つまり「受益者負担」の原則が適用される世界です。
そこには情け容赦のない、莫大な費用の請求書が待っています。
「公的救助はタダだけど、民間救助は超高額」
この二重構造こそが、遭難費用問題のリアルな姿なのです。
さらに、遭難者が意識不明の重体や死亡してしまった場合、その請求は家族に行きます。
残された家族は、悲しみの中で数百万円単位の請求書と向き合うことになる……。
そんな事態だけは絶対に避けなければなりません。
(出典:山岳医療救助機構)
ヘリコプター捜索のコストは誰が払うか

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では、実際に民間の力を借りて救助された場合、具体的にどれくらいのお金がかかるのでしょうか?
金額のイメージが湧かないと危機感も持てないと思いますので、一般的な相場を調べてみました!
正直、この数字を見て私は背筋が凍る思いがしました…苦笑
| 項目 | 単価目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 民間ヘリコプター | 1時間 50万円〜 | 飛行時間に応じた従量課金。基地からの移動時間も含む。 |
| 捜索救助対応チーム設置費 | 1回 3万円〜 | 初動対応にかかる事務手数料や体制構築費。 |
| パトロール隊員人件費 | 1人1時間 2万円〜 | 危険手当を含む。二次災害リスクがあるため高額設定。 |
| 圧雪車(雪上車)稼働費 | 1台1時間 5万円〜 | 燃費および機材償却費。悪路走破のための特殊車両。 |
| スノーモービル稼働費 | 1台1時間 1万円〜 | 機動力を確保するための費用。 |
特に強烈なのが民間ヘリコプターの費用です。
「1分で約1万円」チャージされていくイメージでしょうか…?
しかもこれは、現場上空にいる時間だけでなく、基地を離陸してから帰投するまでの全時間が計算対象になります。
天候が悪くて一度引き返したり、広範囲を長時間捜索したりすれば、あっという間に数百万円に達します!
地上部隊の費用も侮れません。
例えば白馬エリアのスキー場などの約款には、営業時間外の捜索救助活動について、実費を請求する旨が明確に記載されています。(もちろん、白馬エリア以外の多くのスキー場でも明記されています。)
パトロール隊員数名と圧雪車を動員して一晩捜索を行えば、それだけで数十万円から100万円規模の請求になることは珍しくありません。
過去には、15万円程度の請求に対して「高すぎる」「払いたくない」と遭難者が不満を漏らしたケースも報告されているそうです。(なんだこいつ…)
命を救うために危険を冒してくれた人たちに対し、感謝の言葉よりも先に文句が出てしまう……。
こういった遭難者側の当事者意識の欠如や、「助けてもらって当たり前」という態度は、現場のモチベーションを下げ、地域社会との溝を深める大きな要因になっています。
バックカントリー愛好家が「迷惑な存在」と呼ばれないためには、まずはこのコスト感覚を正しく持ち、「自分のケツは自分で拭く(支払える準備をしておく)」ことが最低限の礼儀だと言えるでしょう。
自己責任論では済まされない法的リスク
バックカントリーを巡る議論でよく出てくるのが、「自分の命なんだから好きにさせてくれ」という自己責任論です。
しかし、法律の専門的な見地から見ると、そう簡単に割り切れるものではありません!
ここでは、法的・倫理的な側面から「迷惑」の構造を解き明かしてみます。
まず、バックカントリー擁護派の理論的支柱となっているのが、「自然公物利用権」という考え方です。
山や川、海といった自然は誰のものでもなく(あるいは国有林として国民全員のものであり)、本来的に誰もが自由に使用できる場所であるという法解釈があります。
「スキー場のリフト降り場を一歩出れば、そこは大自然。
通行を禁止する権限は誰にもないし、リスクを取って滑る自由は憲法における幸福追求権の一部だ」という主張ですね。
確かに一理あるのですが、無制限の自由が認められているわけではありません。
以下のような法的リスクが存在します。
1. 軽犯罪法違反と業務妨害
スキー場が管理している区域や、正当な理由があって設定された「立入禁止区域」に侵入することは、軽犯罪法第1条32号の「入ることを禁じた場所への侵入」に該当する可能性があります。
また、その侵入によって雪崩を誘発し、スキー場の営業を妨害したり、不必要な救助出動を強いたりした場合は、刑法上の「威力業務妨害罪」や、民法709条に基づく「不法行為による損害賠償請求」の対象となります。
2. 管理責任と予見可能性
逆に、スキー場管理者の責任が問われるケースもあります。
過去の判例(ニセコ雪崩事故など)では、裁判所はスキー場管理者に対し、予見可能な危険については防護措置を講じる義務(安全配慮義務)を認める傾向にあります。
これはどういうことかというと、「管理者がここは危険だから入るなと看板まで立てて警告しているのに、それを無視して入った」という事実があれば、遭難者側の過失割合が極めて高くなる、あるいは100%自己責任となる法的根拠が補強されるということです。
3. 救助隊を訴えるというパラドックス
「迷惑」言説を加速させる要因の一つに、遭難者側が救助隊の過失を訴える訴訟があります。
有名なのが北海道警の「積丹岳遭難訴訟」です。
これは救助活動中に遭難者を滑落させてしまった事故に対し、遺族が国家賠償請求を行い、最高裁で警察側の過失が確定した事例です。
遺族の心情も理解できますが、この判決が社会に与えたインパクトは強烈でした。
「命がけで救助に行っても、失敗すれば訴えられるのか」「じゃあもう助けに行きたくない」という萎縮効果を現場にもたらし、世論には「助けてもらっておいて訴えるとは何事か」という猛烈な遭難者バッシングの火種となりました。
これが「バックカントリー愛好家=権利ばかり主張する迷惑なクレーマー」というネガティブなステレオタイプを強化してしまっている側面は否めません。
このように、バックカントリーは単なるスポーツの枠を超え、法律、倫理、そして感情が複雑に絡み合った社会問題になりつつあります。
「自己責任」という言葉だけでは片付けられない重みが、そこにはあるのです。
外国人客によるトラブル事例と課題

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ここ数年、日本のパウダースノー、通称「JAPOW(ジャパウ)」を求めて、世界中からスキーヤーやスノーボーダーが押し寄せています。
インバウンド需要の爆発は観光地にとって嬉しい悲鳴ですが、同時に深刻な「迷惑」の輸入ともなっています。
特に問題視されているのが、文化やルールの違いによる摩擦です。
欧米の多くのスキーリゾートでは、「自己責任(Self-responsibility)」の文化が徹底されており、コース外は完全に個人の責任領域(At Your Own Risk)とされています。
そのため、日本のスキー場にある「立入禁止」のロープや看板を、「単なる推奨事項」や「法的拘束力のない飾り」程度にしか捉えていないケースが散見されます。
北海道のニセコや長野の白馬などでは、外国人グループがロープをくぐって立入禁止エリアに入り込み、そのまま遭難するケースが後を絶ちません。
しかも、ビーコンやショベルといった最低限の装備すら持たず、軽装で裏山に入ってしまう「無知な冒険」も多いようです。
彼らに悪気はないのかもしれませんが、結果として日本の警察や消防が動き、多大なコストがかかることになります。
さらに深刻なのが、「支払い能力の欠如」です。
アメリカなどでは、救助費用が払えない遭難者に対して自治体が回収に苦労する事例が社会問題化していますが、日本でも同様の懸念が高まっています。
長期滞在のバックパッカーや、保険に入っていない旅行者が高額な民間救助費用を請求された時、果たしてスムーズに支払われるでしょうか。
「言葉が通じない」「帰国してしまえば連絡がつかない」といった事態になれば、最終的に泣きを見るのは地元の自治体や救助隊です。
また、事例として報じられた中には、北海道で外国人グループがバックカントリーエリアに勝手に雪を積み上げてジャンプ台を制作し、着地に失敗して骨折、救助要請をしたという呆れたケースもありました。
自然を楽しむのではなく、スノーパークの延長として山を私物化し、公的リソースを消費する。
これでは「迷惑な外国人」というレッテルを貼られても仕方ありません。
もちろん、マナーの良い外国人スキーヤーもたくさんいます。
しかし、一部のルール無視が地域全体に「外国人排斥」のような空気を作ってしまうのは悲しいことです。
多言語での情報発信や、ルール違反に対する厳格なペナルティの運用など、国際基準に合わせた対策が急務となっています。
バックカントリーで迷惑を回避する必須対策

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ここまで、耳の痛い話や怖い話ばかりしてしまいましたが、バックカントリー活動そのものが「悪」というわけではありません!
大自然の中でパウダースノーを巻き上げて滑る体験は、何物にも代えがたい素晴らしいものです。
大切なのは、リスクを正しく理解し、他者に迷惑をかけないための準備とマナーを徹底することです!
ここからは、私たちが「迷惑な遭難者」にならないために、そしてこの素晴らしい文化を未来に残していくために、絶対にやっておくべき具体的な対策を紹介します。
ニセコルールに見る共存への道
「全面禁止」か「完全自由」か。
その二元論ではなく、コントロール下で開放するという現実的な解を見出したのが、北海道ニセコエリアで運用されている「ニセコルール」です。
これは、バックカントリー活動における地域ルールの成功モデルとして、世界中のリゾートから注目されています。
ニセコルールの核心は、スキー場管理区域外へ出るための出入り口を「ゲート」として物理的に管理している点にあります。
具体的には以下のような仕組みです。
- ゲートシステム:コース外へ出るための専用ゲートを設置。パトロール隊が毎朝雪の状態を確認し、「ニセコ雪崩情報」を発表。危険度が高い日はゲートを閉鎖します。
- 完全立入禁止区域:雪崩のリスクが極めて高い特定の斜面や、春先の亀裂が多い場所などは、ゲートが開いていても絶対に入ってはいけない区域として指定されています。
- ロープくぐりの厳禁:ゲート以外からのコース外への脱出(ロープくぐり)は固く禁じられています。違反した場合はリフト券の没収などの厳しいペナルティが課されます。
- 捜索費用の請求:ルール違反をしてコース外に出た場合の遭難捜索費用は、実費請求されることが明文化されています。
このシステムの素晴らしい点は、利用者の「滑りたい」という欲求と、管理者の「安全を守りたい」という義務のバランスをうまくとっていることです。
「ゲートが開いている時は、自己責任で滑っていいよ。でも閉まっている時は絶対にダメだし、ロープをくぐるような卑怯な真似は許さないよ」という明確なメッセージがあります。
私たち利用者がすべきことはシンプルです。
その土地にローカルルールがあるなら、それを神聖な掟として守ること。
ニセコに限らず、各スキー場や山域には独自のルールやマナーが存在します。
滑りに行く前に必ず現地の公式サイトやビジターセンターで情報を確認し、「郷に入っては郷に従う」姿勢を貫くことが、迷惑をかけない第一歩です。
ココヘリ等の捜索サービス活用法

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万が一遭難してしまった時、捜索隊にとって最大の負担であり、時間のロスになるのが「どこにいるかわからない」という状況です。
広大な雪山で、白いウェアを着た人間を探すのは、砂漠で針を探すようなものです。
そこで導入が進んでいるのが、最新テクノロジーによる位置特定サービスです。
特に私が強くおすすめしたいのが、「COCOHELI(ココヘリ)」という会員制捜索ヘリサービスです。
これは、会員証サイズの専用発信機を持っているだけで、遭難時に提携する民間ヘリやドローンが出動し、上空から電波をキャッチして位置をピンポイントで特定してくれるシステムです。
・ココヘリのすごいところ
最大の特徴は、最長16km先からでも電波を捕捉できること。
従来の「目視による捜索」で何日もかかっていたものが、わずか数時間、早ければ数十分で発見されるケースもあります。
発見時間が短縮されれば、当然生存率は劇的に上がりますし、捜索隊が危険な山に入る時間も短くなるため、二次災害のリスクや捜索費用を大幅に抑えることができます。
年会費は数千円程度で、万が一の際のヘリ出動費が(一定回数まで)無料になる保険的な側面も持っています。
最近では、jRO(日本山岳救助機構)と提携したプランなども登場しており、バックカントリー愛好家の間では「ビーコンと同じくらい必須の装備」として定着しつつあります。
「自分は見つけてもらえる」という安心感だけでなく、「捜索隊の手間を減らす」という社会的な配慮としても、ココヘリのようなサービスの導入は非常に効果的です。
まだ持っていない方は、ぜひ今シーズンからの導入を検討してみてください。
COCOHELI ココヘリ | 山岳捜索サービス 公式サイト
高額な賠償に備える山岳保険の選び方
先ほどのセクションで触れた「民間ヘリ1時間50万円」という数字、覚えていますか?
もし明日あなたが遭難して、300万円の請求書を渡されたとしたら、笑って支払えるでしょうか?
恐らく多くの人が顔面蒼白になるはずです。
これをカバーするために絶対に必要なのが山岳保険です。
ここで注意したいのが、一般的な「海外旅行保険」や「クレジットカード付帯の傷害保険」では役に立たないケースが多いという点です。
多くの保険約款には「危険なスポーツ(山岳登はん、リュージュ、ボブスレーなど)」を行っている間の事故は免責(補償対象外)とする条項が含まれています。
バックカントリーはまさにこれに該当する可能性が高いため、専用の山岳保険への加入が必須となります。
では、どんな保険を選べばいいのでしょうか。
ポイントは以下の3点です。
| チェック項目 | 推奨内容 |
|---|---|
| 救援者費用 | 500万円〜1000万円 遭難捜索にかかる費用をカバーする項目。最も重要です。300万円では足りないケースもあるので、余裕を持った設定を。 |
| 個人賠償責任 | 1億円〜 他人に怪我をさせたり、物を壊したりした時の補償。衝突事故や雪崩誘発のリスクを考えると必須。 |
| 用具の補償 | スキー板やウェアの破損・盗難補償。BCギアは高価なのであると安心。 |
具体的なサービスとしては、以下のようなものがあります。
- モンベル野あそび保険:1日単位や短期で入れる手軽さが魅力ですが、ピッケルやアイゼンを使用するような本格的な冬山登山は対象外になるプランもあるので、約款をよく確認してください。
- jRO(ジロー):日本山岳救助機構が運営する会員相互扶助制度。捜索費用を補填してくれますが、事後分担金方式という独自の仕組みです。
- 各種レスキュー保険:民間保険会社が提供する山岳保険。補償内容が手厚いものが多いです。
保険料をケチって人生を棒に振るなんて馬鹿げています。
自分の財布を守るためだけでなく、「万が一の時に家族や救助隊にお金の心配をかけない」というマナーとして、保険加入はバックカントリーへの入場券だと考えてください。
モンベル野あそび保険公式サイト
登山・山岳遭難対策制度|jRO(ジロー)公式サイト
登山届の提出と事前の計画徹底
「ちょっとスキー場の裏へ行くだけだから」「みんな行ってる場所だから」という軽い感覚が一番危険です!
リフトを降りて管理区域を出れば、そこはもう冬山登山のフィールド。
コンビニに行くのとはわけが違います。必ず登山届(登山計画書)を提出しましょう。
「登山届なんて書いたことないし、ポストに入れるのが面倒」という方もいるかもしれません。
でも今は、スマホひとつで完結する時代です。
「コンパス(Compass)」というオンライン登山届システムを使えば、アプリから簡単にルートやメンバー、装備を入力して提出でき、その情報は瞬時に家族や警察と共有されます。
コンパス登山届と地図アプリ:コンパス~山と自然ネットワーク~ 公式サイト
長野県や岐阜県など一部の自治体では登山届の提出が条例で義務化されていますし、一部のスキー場ではBCエリアへのゲート通過時にコンパスでの届け出画面の提示を求めているところもあります。
登山届を出すメリットは、単に「義務だから」というだけではありません。
計画書を作る過程で、「どんなルートを通るのか」「危険箇所はどこか」「何時に下山予定か」を自分自身でシミュレーションすることになります。
これがリスク予知能力を高め、遭難の予防につながるのです。
また、万が一帰ってこなかった場合、警察は提出された計画書を元に捜索範囲を絞り込めるため、初動捜索が劇的に早くなります。
「誰にも言わずに山に入り、行方不明になる」
これが捜索側にとって一番の迷惑であり、悪夢です。
自分の足跡を公的に残しておくことは、自分自身への責任表明でもあります。
バックカントリーを迷惑にしない意識改革

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長くなりましたが、最後に一番大切なことをお話しします。
それは結局のところ、私たち一人ひとりの「意識」の問題です。
バックカントリーにおける「迷惑」の正体。
それは、「自然への畏敬の念の欠如」と「社会への甘え」ではないでしょうか?
「自分は大丈夫だ」「事故なんて起きない」という正常性バイアス。
「何かあっても誰かが助けてくれるだろう」という依存心。
これらが、無謀な行動や準備不足を引き起こし、結果として大きな社会的コストとなって跳ね返ってきています。
ビーコン、ショベル、プローブの「三種の神器」を持つのは、もはや当たり前のマナー以前の話です。
それに加えて、「山岳保険への加入」と「登山届の提出」もセットで、バックカントリーを楽しむための必須の入場券(ライセンス)だと考えるべき時代に来ています。
そして何より、自分の技術や知識を過信しないこと。
最初はガイドツアーに参加してプロの判断を学んだり、雪崩講習会に参加してリスクマネジメントを身につけたりして、常に謙虚に山と向き合う姿勢が大切です。
「今日は雪の状態が悪いからやめておこう」と引き返す勇気を持つことこそが、本当の意味での上級者であり、グッドマナーな滑り手と言えるでしょう。
バックカントリーは、日本の豊かな自然を全身で感じられる素晴らしい文化です。
一部の心ない行動によって規制が強化され、この自由な遊び場が閉ざされてしまわないよう、私たち一人ひとりが責任ある行動を心がけていきましょう。
あなたが安全に家に帰ることが、誰にとっても一番の「迷惑防止」になるのですから。
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